安定板を装着することによって生じるメリットとデメリットの解説

競艇以外ではあまり聞くことのない「安定板」という言葉。
「安定板」はレースに多大なる影響を与え、装着することによって様々なメリットとデメリットが生じます。
この記事ではそんな「安定板」がレースに与える様々な影響についての解説を徹底的にしていきます。
「安定板」についての正しい知識を得て楽しい競艇ライフを送ってください。
目次
レースに多大な影響を与える安定板
競艇は水上で速度を競うレースを行う関係上、天候や風の影響を特に受けやすい競技ともいえます。
強風や波の高さなどで通常の走行が不可能となった場合にボートに取り付けられる安定板ですが、使用条件やレースへの影響について詳しく解説していきます。
そもそも安定板って何?
「安定板」という単語は日常生活を送るうえではほとんど名前を聞かないものだとは思いますが、競艇においてはモーターの下部に装着するU字型の板のことを指します。
大きさは幅16cm、長さ41.5cm、厚さ4mmで総重量は480gとボート全体から考えると意外と小さく思えるかもしれませんが、レースに与える影響は甚大です。
安定板はトップスピードに影響を与える
「安定板」を装着した際に大きく影響が出るのがモーターのトップスピードです。
安定板を装着する目的が天候などの影響で不安定になっている水面で安全にレースを行うために装着するものである以上、これは当然なのですが、トップスピードが抑えられるとレース全体に影響が出ます。
昨今の競艇ではスタートダッシュを決めて1マークを誰よりも早く通過した選手が勝つというのが、競艇になれている人にとってはもはや常識のようになっています。
トップスピードが抑えられてしまうと、ただでさえ内側有利と言われるレースで外側の選手が内側の選手を抜くことが難しくなってしまいます。
安定板はコーナーの旋回速度にも影響がある
「安定板」を装着するとトップスピードが抑えられると話しましたが、コーナーの旋回スピードについてはこれとは真逆で通常では「全速ターン」が難しい内側のコースでも「全速ターン」が可能になるのです。
安定板はそもそもボートを安定させるためのものなので、装着すると旋回時のボートの安定感が増します。
さらに、トップスピードが抑えられている影響で直線からコーナーに侵入する際の減速も少なくて済むので大きく弧を描いてコーナーに侵入する外側の選手だけではなく、通常は小回りをするためにある程度減速しなければならない内側の選手も「全速ターン」を決めやすくなる。
つまりはレースに置いての勝ち筋、「まくり」や「まくり差し」が決めにくくなるということです。
安定板の装着はどの艇に影響を与えるのか
「安定板」を装着するとトップスピードが抑えられ、旋回側がよくなる。
これだけを聞くと安定板を装着しているレースでは1号艇が有利になると見えます。
しかし、安定板を装着したレースで必ずしも1号艇が有利になるかといえばそうではありません。
なぜならば、安定板というものは通常のレースが不可能な状態で装着を指示されるもので安定板を装着すること自体が異常なことだからです。
もちろん、内側の艇が有利なことには変わりありませんが、安定板の装着による安定感よりも、悪天候、つまりは強風や高波などの影響のほうがレース全体に与える影響は大きい(つまり、レースが荒れやすくなるということ)のです。
荒天時のレースの予想は難しいとは昔からよく言われていますが、安定板を装着したとしてもそれが変わることはないのです。
- 「安定板」は悪天候などで通常の状態でのレースが難しいと思われる時に装着を指示される。
- 「安定板」をつけることでボートが安定するが、悪天候の水面状況などの理由によりレースが荒れることがある。
- つまり、高配当のオッズが的中することもある、、かも。
安定板を装着する条件
安定板装着でも危険な場合は中止もあり得る
安定板がボートを安定させるために装着するとは言っても万能ではありません。
競艇が水面上でボートを走らせてレースをする以上、水面の状態によってレースが不可能となることもあります。
安定板の装着同様に明確な基準は設定されていませんが、運営側がレースが不可能と判断した場合にはレースが中止になる場合もあります。
レースが中止になった場合の賭け金はどうなるのか
レースが中止になった場合にはレース日程に余裕のある場合には順延となりますが、レース間隔がないと打ち切りになる場合もあります。
舟券を購入している人にとってもレース自体を鑑賞して楽しんでいる人にとってもつらいのがレースの中止です。
しかし、中止になったレースの舟券は全額返金されるようになっているのが競艇ですので、購入した舟券はレースが中止になっても捨てたり破いたりしないほうよいでしょう。
レースの中止以外でも、フライングや出遅れなどレース開始前に欠場した選手にかけていた舟券は返還の対象となります。
ただし、レース中の転覆や落水、エンストなど、レース開始後のトラブルについては返還の対象とはなりませんのでレースが開始されたら選手が無事にゴールすることが大事です。
レースの中止は選手の安全を考えている
競艇で賭けている人にとってはレースの中止は歓迎できない事態でしょうが、運営にとっても同じことです。
競艇の運営にとっても賭け金の返還が発生するレースの中止は避けたい事態ですが、それでもレースの中止があるのは選手の安全を考えてのことです。
高波に乗り上げたり、強風にあおられることによる転覆、ハンドル操作が追い付かずにボート同士が激突するなど、悪天候の際には事故がつきものです。
水上でレースをする競艇では、転覆や落水といった事故が選手の生命を脅かすこともあります。
その証拠に現在までに31名の方がレース中の事故で命を落としています。
選手の生命を守るためにも運営側は損をするとわかっていてもレースを中止にすることがあるということを胸に刻みましょう。
安定板を装着したレースでの予想
「安定板」を使うことでレースに様々な影響が出るのは理解していただけたかと思います。
では、安定板を装着したレースについての予想の立て方についても軽く説明してみたいと思います。
通常時でも必見の展示航走

競艇ではレース前に「展示航走」というリハーサルのようなものが開催されます。
これは全ての競艇場で行われているものでスタート展示と周回展示が行われます。
通常時はスタート展示でピット離れの良さや誰がどのコースに入るのかに着目し、周回展示でモーターの伸びの良さやコーナーでの旋回の良さを確認することが多いでしょう。
しかし、安定板を装着した場合のレースでは展示タイムやコーナーの旋回の調子を特に確認するのがよいと言われています。
これは出走表に書かれているモーターの2連率などが安定板を装着していないレースの情報が多く含まれた状態で計算されていることに由来します。
モーターの情報は使用開始したレースから前節まですべてのレースの結果から算出されているので、安定板を装着するレースが少ない以上、結果的に安定板なしのレースの情報のほうが多く含まれているのです。
ですので、安定板を装着したレースではモーターの情報があまりあてにならないので、安定板を装着して行った周回展示の展示タイムが重要になってくるということです。
また、悪天候時では通常時よりも水面状況が悪いので、コーナーでバタつくようなターンを行っている選手は勝つのが難しいでしょう。
このようなことから安定板を装着したレースでは「展示航走」、とりわけ展示タイムと実際のコーナーの旋回の様子を確認することをお勧めします。
枠番にとらわれない
通常のレースでは1マークに一番近い内側を獲れる可能性が高い1号艇が有利と言えますし、それは悪天候の安定板を装着したレースでも変わることはありません。
しかし、安定板を装着してレースを行うということは強風や高波などレース会場が荒れている証左でもありますので、ターンで流れたり、スタートでばらけるなど通常とは違う波乱に満ちたレース展開になることが多いです。
そのため、必ずしも内側をとりやすい1号艇が有利とはいえないのが安定板を装着したレースです。
走ってきた経験は悪天候でも活かされる

安定板を装着するほどの悪天候で注目するべきなのはレーサーの年齢や所属支部です。
開催されているレース場に所属している選手は常日頃から練習や本番で走っていることの多い、いわゆる地元なので例え強風や高波などの悪天候で水面状況が悪くなっても対応することが他の選手に比べて容易となっています。
また、年齢の高い選手はそれだけ様々な状況でボートを走らせているので若手よりも安定板を装着したレースに慣れていると考えてもよいでしょう。
時にはあきらめるのも大事
競艇に慣れている人でも悪天候時の予想は難しいものです。
安定板を装着するほどに水面状況が悪いレースでは舟券の購入を見送るのも1つの手でしょう。
競艇は365日いつでも、どこかの競艇場で必ずレースが行われているので予想に次子のない場合には良天候の会場のレースを探したり、日を改めたほうが良いこともあるでしょう。
- レース直前の「展示航走」を見ることで、悪天候時でも調子を落とさない選手を判断できる。
- レースが荒れやすいので「1号艇有利」とも限らない。
- 地元選手は会場が荒れても走り慣れているので3連単にからみやすい。
- ベテラン選手も悪天候時の対応に長けている。
まとめ:安定板はレースに多大な影響を与え、予想が難しくなる
安定板について解説してみましたが、まとめてみるとこんな感じになるでしょう。
- 安定板の装着は競技委員長が決定し、装着する場合には全艇が装着する義務を負う
- 安定板を装着するとトップスピードが抑えられ、全速ターンが決まりやすくなる
- 安定板は悪天候の時に装着され、それでも危険な場合にはレースの中止もあり得る
- 安定板の装着されたレースでは通常とは違った情報での予想が必要となるので、時にはあきらめるのも大事
安定板を装着することによってレースに多大な影響が出ることは理解していただけたかと思います。
いつもとは違うレース展開を楽しみたい方は安定板を装着したレースに賭けてみるのも面白いかもしれません。
レースが中止になっても受け止められる広い心をもって競艇ライフを楽しみましょう。

- エスキモー
- 友人と一緒に乗ったカヤックが楽しくてカヤックをはじめボート全体にドはまり。ついでのように競艇ファンになってしまう。競艇で大きく当ててカヤックが置ける自宅を建てるのを夢見てる。
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